学級通信たまに教育雑感ブログ

実際に配布した【学級通信】を掲載しています

【学級通信】(第050号)席替えとマイノリティ

席替えとマイノリティ

学校の教室

「学級通信配りまーす」
「これって毎週配るんですか?」
「そうだよ、100号目指してるから!」
「●●センセーはそんなんじゃなかった」
「そりゃあレベルが違いますから」
「けど、●●センセーの方がかわいいよ!」

世の中がカワイイかどうかで判断されていく…残念な時代です。Photoshop的にカワイイは作れますが、オジサンをカワイクはできないのが残念です。

今回はマイノリティとマジョリティの話です。みなさん意味はわかりますか?簡単に言えば、マイノリティは少数派、マジョリティは多数派を意味します。このマイノリティとマジョリティの関係は、いろんなところで見られます。例えばこのクラス。このクラスは男子:女子の比率が3:1です。男子がマジョリティ、女子がマイノリティということになります。

マジョリティは幅をきかせます。本校はもともと女子校ですし、今の時代は女子が強いですし、社会においては多くの女性が活躍していますが、クラスの中でこれだけ人数差があると、どうして男子の方が幅をきかせてしまうものです。なので、私がこのクラスの担任になることになってから、

「女子が嫌な思いをしないこと」

という目標を立てました。自分の名誉のために言っておきますが、けっして女子人気を狙ったわけではありません。

で、実際に新学期がスタートしてみると、男子の固まりの中に女子がポツーンみたいな席があったり、女子が集まっている席があったり…

(これはバランスが悪いな~)

とすぐに感じました。で、(本当に)いろいろ悩んだ結果、新学期始まって2週間で席替えを実施しました。成り立てホームルーム委員さんにあれこれ相談しながら、できる限り男女が公正になる配置を組んでもらい、くじ引きにしました。

良かれと思ってやった席替えですが、

「そんな甘いことやってちゃダメですよ!」
「座席程度で気を使ってどーすんですか!」
「何年教員やってんですか!」
「世の中厳しいんですから、甘やかしちゃダメです!」

とか言ってくる子もいました。そんなことを言われると、

(うーん確かに…)

と思ったりもします。社会にでれば、男だ、女だ、日本人だ、外国人だ、若いだ、年寄りだ…なーんて言っていられないわけで、そんなことを気にしない強さは皆さんに身につけて欲しいと思います。しかし、マイノリティというのはどうしても我慢しなければならない雰囲気になってしまうのもまた事実です。

いろいろもんもんと考えてしまうテーマですが、マイノリティとマジョリティの関係はどの世界でもあるわけで、マジョリティ側にいるときには「配慮の精神」を、マイノリティ側にいるときには「強い気持ち(自信)」を持てるようになってください。

ちなみにマイノリティには価値があります。この前の遠足班じゃんけんを見ればわかりますよね。少ない方に価値がある。たくさんあると価値は落ちます。ですから、マイノリティ側にいるときには、ぜひとも自信を持ってください。

去年の夏に、ある大学の先生と話す機会がありました。その先生は、お子さんと一緒にデンマークの幼稚園を視察したときの話をしてくれました。お父さん(先生)は、教育視察だったようですが、お子さんはデンマークの園児たちと一緒に過ごして楽しかったそうです。いろいろ見学をして帰るときに、

「外国人の子を受け入れてもらってありがとうございました」

とその先生が挨拶をしたら、デンマークの先生が、

「お礼を言う必要はない。この国の子たちは、大きくなるとほとんどが海外で働くようになる。そうすると彼らは外国人として扱われる。同じ教室に言葉が通じない人がいる。自分がその立場だったらどんな気持ちになるか、そしてその人のために自分はなにをしてあげられるか。それを考えることは、彼らにとっては貴重な学びの体験となる。お礼を言うのはこちら側だ」

と言われたとのこと。

教室に自分と違う人がいるということがどれだけ価値のあることなのか?を(男だ、女だという範囲を越えて)是非とも考えてほしいと思います。