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【学級通信】(第117号)タピオカと同調圧力

タピオカと同調圧力

タピオカ

最近(といってもけっこう前ですが…)、駅の近くにタピオカ専門店ができました。今、世の中は空前のタピオカブームです。若者の身体の半分はタピオカでできていると言われるくらい流行っています。そんなトレンドを本校の子たちが見逃すわけもなく、店に足しげく通います。

「いそのー野球行こうぜー」と同じレベルで、「タピオカ飲みに行こうぜー」という台詞が飛び交います。

なかには「週3でタピオカ飲みに行っていま~す」という子すらいます。当然、この店はバカ売れです。たぶん売り上げの1/4は本校の生徒です。オープンニングの時なんて、人気アイドルのライブ会場かと思うくらい混んでいました。たぶん200人くらいは並んでいたと思います。ちなみにこの街の人気ラーメン店は多くて10人の行列です。

私もタピオカの一つくらいは飲んでみたいと思っているのですが、未だに行っていません(そのうち行きます)。ちなみに生徒に値段を聞いたら600円と言っていました。私はおじさんですから、600円などいくらでも出せますが…さすがに600円て…と思います。高校生がどれくらいの小遣いをもらっているのか知りませんが、ラーメン食べられる金額を週3回も使っているかと思うと、どうなんだろな…と思うわけです。「松屋」、「すき家」ならお釣りがきます。週3で牛丼は食べないけれど、タピオカドリンクは買いに行く。タピオカドリンクにはそれだけの価値があるということです。恐るべしタピオカドリンク。

私が言いたいのはモノの価値の話ではなく、

「高校生たるものタピオカドリンクは買わなければならない感じになっている雰囲気って危険だわ」

いうことです。このOOしなくてはならない感じというのはなかなかパワーがあります。雰囲気って怖いです。心理学では同調圧力と言います。もう皆さんは三年生ですから、雰囲気に流されることはないでしょうが、一年生は今、雰囲気との戦いの真っ最中です。

A子「ねぇ、今日、タピオカ行くでしょ?」

B子「う…うん(まじかよ…金がキツいわ)」

お金がきついのなら断るこの場面ですが、B子は断れません。なぜならB子は「タピオカを飲むことが高校生の品格だ」という圧力に負けているからです。いくらお金がキツくても、タピオカドリンクを手にして、水滴がしたたるカップの写真をインスタにあげるという儀式をクリアしなければならない。かつてのヤンキーがタバコを吸わなきゃ仲間に入れなかったような現象が、今、タピオカドリンクで行われているわけです。

特に女子は大変です。JKとしての品格を保つために相当な努力をしています。週3のタピオカドリンク、休日のチーズダッカルビやパンケーキに耐えきるだけのお金が必要です。キラキラしなくてはならない圧力を受けてしまった人たちにとってバイトは必然となります(本校ではバイトは禁止です)。バイトはパンケーキのようにあまいものではありません。楽しい反面、必ず疲れがやってきます。そして、学業がおろそかになっていきます。

部活をやっている人はさらに大変です。勉強、バイト、部活、品格…と全てを両立するのはなかなかどうして難しいことです。だから優先順位の高いものが残ります。

1位:品格(つまりそれを保つためのバイト)

2位:部活

3位:勉強

ほとんどは、この順番だと思います。そして3位が捨てられて、2位が中途半端になっていきます。つまり品格を保とうとすればするほど、学力が下がり、出費も増え、いろんな意味で貧乏になる仕組みなのです。だから、JKとしての品格を保ちつつ、勉強や部活で結果を残している人は、本当にスゴいことなのです。自分の身の回りにそういう子がどれだけいますか?

タピオカドリンク飲まなくても、チーズダッカルビやパンケーキを食べなくても、キラキラ写真をインスタにアップロードしなくても、ピアスの穴開けなくても、皆さんは十分に魅力的です。もっと自信を持って生きていけば良いと思います。本校の良さは、うぇい感ではなく、誰かに流されて無理することでもなく、

「自分が自分らしく生きて良いという自由」

な部分だと思うのです。

周囲と同調すれば、自分の自信のなさを補完してくれます。「みんながOOしている」という安心感が得られます。しかし、同調圧力に屈して自らの方向性を間違えてはいけません。もし迷走している友人がいたら、「方向性間違っているぞ!」と言ってあげてください。

本来、その人が持っている良さをちゃんと輝かせてあげましょう。

PS.「タピオカのゴミはタピオカ屋に捨ててください」