【学級通信】(第142号)ムカつくことはムカつくけど、それも教員生活なのだろう
ムカつくことはムカつくけど、それも教員生活なのだろう
次の文章を読んで、後の問に答えよ。
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昔よりキレなくなった。教員生活も長くなり、さまざまな経験をして、子どもにキレてもあまり意味はないということを学んだ。子どもにキレる教員を見て、あ~まだ彼も若いな~などと、したり顔になることもある。子どもにキレた保護者の話を聞いて、そんなに目くじら立てても意味はないのになどと思うこともある。しかし、だからと言って、子どもの全てを受け入れられるわけではない。ムカつくことはムカつくし、許せないことは許せないのだ。学校というところで働いていると、許せないことが毎日のように起きる。
高校最後の期末テストも終わり、クラスの1/4の進路が決まった今、許せないことが増えた。今まで見えなかっただけで、最初からそこにあったのかもしれない。
一昨日学校を休んだTが、
「先生、ごめん、この前ウソついて学校をサボった」
と、SHR後にサラッと言ってきた。
「人に推薦書を書かせ、志望理由書をさんざん添削させ、最後はほぼ担任の作文となったものを使い、面接練習もたくさん準備してもらって、小論文の練習も目いっぱいやってもらって、いろんな先生にお世話になったにも関わらず、進路が決まったら学校サボるようになっていいのか?それは人としてどうなのだ」
と興奮しながら私が言うと、
「先生ちょっと落ち着いて」
と、前日に学校をサボったMに言われた。それを聞いたTは、
「お前が言うなよ」
と突っ込みを入れ、その場の生徒たちは、「ははは」と笑った。
「私はそれでも生徒を愛さなければならないのか?」
と聞くと、Tは、
「先生頑張って」
と言った。後の席でそのやりとりを見ていたKが、
「みんな俺を見習った方がよいよ」
と言うので、詳しく理由を聞いてみると、
「俺、遅刻は多いけど、欠席はしないから」
と返ってきた。Kは現在まで12回遅刻し、遅刻指導の対象となっている。そこにYが入ってきて、
「先生、クラスのセロハンテープがないです」
と言ってきた。辺りを見渡すと一番前の席に座っているOが持っていた。Yはその席に行くとセロハンテープを使い始めた。それを見てOが、
「おいY!それオレのセロハンテープだろ」
と叫んだ。それはクラスのために私が置いたものである。私がOを一瞥すると、分の悪そうな顔をしてセロハンテープを元の位置に戻した。Oも私が推薦書を書き、志望理由書の作文を手伝った生徒だ。
職員室に戻った私は気持ちを落ち着かせ、他の業務にあたった。3時間目の授業から戻ってきた出席簿を見て、SHRにいなかったNが登校していることを確認する。学校も残りわずかだから遅刻しないで頑張れよ、と帰りのHRで私は言うのである。
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本文における筆者の気持ちや状態として適当でないものを、次の①~⑥のうちから選べ。
①教育者としての力量のなさを感じ、これから先の仕事を心配している。
②生徒たちの自分勝手な考え方に怒りを感じ、これからは割り切って生きていこうとしている。
③自分を応援してくれる生徒もいるということを信じ、卒業まで頑張ろうと決心している。
④時代と共に変化する生徒に対応できず、教職を辞めようとしている。
⑤SHR中にずっとスマホをいじっていたFへの怒りを抑えている。
⑥セロハンテープはクラスの共有物であることを生徒に伝えてきれていなかったため、生徒を混乱させてしまったのではないかと反省している