【学級通信】(第136号)勝ち組とか、負け組とか
勝ち組とか、負け組とか
先日、ホームルームでアンビシャスという冊子を配りました。この冊子は、さまざまな職業人へのインタビューを掲載しているものです。大学の志望理由や、大学での学びの内容なども掲載されていて、その人の経歴やどんな勉強をしたのかがよくわかります。Webサイトではバックナンバーも含めて全て読めます。
www.amb100.com
ホームルームで時間もあったので、このアンビシャスを使って少し話をしました。1ページ目にはこんな経歴の人でした。
国立高校はご存じの通り都立のトップ校です。文化祭も有名です。ロッカーの装飾やら、教室演劇やら、門の前の看板やら…どれをとっても他の高校では叶わない感じです。毎年、東大生も輩出しています。
(平成31年の進路結果(現役))
東大9、京大11、一橋12、東工大6
早稲田45、慶応15、上智6、理科大26
すげぇ…って感じですよね。しかもちゃんと現役と既卒を別々にして資料を公開しています。普通は小さい文字で「現役と既卒の計」って書いておいて、進路結果を良く見せるのが一般的です(私の経験上)。騙された!って思うかもしれませんが、どの学校もそんなもんです。私大の結果なんて累計ですから、一人で早稲田3つ受かっていても「3」という数字が出ます(それを見て、うわ~3人受かってるんだ~となる中学生が何人いるのかは知りませんが、少なくない気がします)。
2ページ目は、こんな経歴の人でした。
「都立富士高校→都市大→大成建設」
富士高校は現在、中高一貫になっています。都立の中高一貫になった学校は、だいたいその地区のナンバー2、3の学校です。富士高校だと、西高がナンバー1で、その下といったところでしょうか(間違っていたらゴメンナサイ)。中高一貫になる前の最後の富士高校の進学結果は、次です。
(平成26年の進路結果(現役))
東工大1、首都大8、横浜国立1
早稲田9、慶応16、上智3、理科大9
なかなかの数字ですよね。都立の上位校であった富士高校のレベルからみれば、東京都市大学は偏差値的にはそんなに高くはありません(ちなみに都市大は理系の老舗大学です)。一人目は「国高→早稲田」、二人目は「富士高→都市大」でした。さあこの二人を比べてどうでしょうか。どちらが良いとか悪いとか言えますか?
では、大和ハウスと大成建設はどうでしょうか?最近はネットで年収まで調べられます。
<CareerPicks 転職系の情報サイト>
(平均年収)
大和ハウス → 893万円、賞与200万円
大成建設 → 987万円、賞与280万円
年間100万違うのはなかなか大きいかもしれませんが、どちらが良いとか悪いとか言えますか?
私たちは知らず知らずのうちにいろんなものを格付けしています。それを煽る人もいますし、勝ち組とか、負け組とかいう言葉もよく使うわけです。私は、お金も学歴もあるにこしたことはありませんが、絶対の基準ではない…と考えています。何を基準に生きるのか?皆さんはどういう世界(基準)で生きたいですか?
アンビシャスの最後の方には、
という経歴の人が登場します。中吊り広告を見て興味を持って京王電鉄を受けたそうです。「国高→早稲田→大和ハウス」には見劣りするかもしれませんが、毎日大勢の人の役に立っているという点で言えば、この人が圧勝ですね。
けっきょくは、自分の中の価値基準と、やっていることに対するパッションだと思うのです(仕事以外へのパッションも含め)。だから人生に勝ち負けなんてないのです。
「やりたいことをやり、なりたいものになれ」
…これが一番大切なのではないでしょうか?