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【学級通信】(第138号)人生で大切なことは予備校で学んだ

人生で大切なことは予備校で学んだ

予備校講師

あと一週間で2学期の期末試験になります。みんな一緒の「普通の」高校生活を味わえるのも残りわずかです。あーこのクラスには何にも貢献できなかったなぁと(授業のかまちょも弱かったと反省しぃの)心沈む…政治・経済の副担任です。

一生懸命勉強しているみなさんが瞳の片隅によぎると、ふと受験生だった頃が蘇ります。副担任の大学受験時代は日本史上最も過酷な倍率の時代でした。現役で大学に行けることを「偶然」といい、一浪を「当然」で人並み、二浪を「平然」…という時代でした(※)。浪人時代通った予備校は、授業の面白さ・魅力(まぁ講師のパフォーマンス力)を売りにする予備校でした。(一社会人としてはどうかと思うけど)キャラ濃すぎる講師のメンメンが、ある講師は授業よりも大切なことと称して歌を歌い、またある講師は花火を打ち上げ、授業中にクリスマスパーティを開くという…で、授業は自称ハイレベルという、なかなか香ばしい授業を受けてきました。そういう講師は、平凡な人生の道を踏み外している分、発する言葉が深い(その深さから沼にはまる受験生多数…)。

夏休みにある生徒のAO志望理由書を添削していました。その志望理由書は自分が幼い頃から(学校の内外で)一生懸命取り組み、結果を出してきた、ということをアピールしていました。それは多くのライバルよりも頑張ったから、負けたくないと一生懸命取り組んだから結果がついてきたんだし、そこもアピールしたいし、それが私らしさ(要するに自己PRポイント)だし…と言いたいわけです。それを読む副担任を生徒はじぃーと見つめ(いや、睨みつけ)ているのです。その時、ふっと予備校講師の言葉がフラッシュバックしてきたんです。

その先生は講習でたった2日間だけ習った数学の先生でした。俺は第一志望の国立大学に落ち、併願先の私立大学に行った。そこでは第一志望の大学に落ちて仕方なく来ている同級生が劣等感に苦しんでいる様子を見て、

「自分はこの大学に来たことを誇りに思っている」

ということを本当に誇らしげに語る先生でした。その先生は名言を色々残していて

「君たちはお互いを高め合うWin-Winの関係が築けるような人間になってください」

「相手の負けを願うような人間になってはいけない」

…本当は社会の先生ですよね、的な感じで。こんな先生に習っていながら、副担任は大学受験も(卒業も)、就職試験もしくじりました。ある就職試験では最後の理事長面接までいったのに、そこで言われたのは

「あなたは社会人としての基本がなっていないから、ここで面接指導をしてあげる」

と、就職試験で面接指導をされる(しかも理事長室で!)という屈辱が…。今考えると不思議なめぐりあわせなんですよね。どう考えても受験とか進学指導とかの適性がない人物なんですよ、私。なのにそういう人が本校では進路指導部だって。前回(かな)の学級通信で「悩みの相談…」で2回も登場させていただきましたけど(笑)。

なかなか実力や成績(点数)が伸びてこない、焦りが先に来る、もはや焦りすら感じず、夢遊病者のことく目の前の問題を解いて答え合わせして…そんな様子を放課後の教室や(なぜか、政治経済の授業中にも!?!?)見られます。みなさんが今している答案は誰に向かって書いてますか。採点者?、面接官?、違うんですよ、究極的にはあなた自身にも向かって書いているんです。このことに気づいたのは、その先生に習ってから20年以上経っていました。遅っ!!!

もう少しで11月も終わります。あの予備校からの帰り道、寒い北風と煌々と照らす、代々木から見る新宿の夜景の中から通奏低音のように聞こえてくるクリスマスソング。さ、あと1週間、1か月、4か月後ににっこり笑って卒業しようね(とN先生風に)。

(※)

三浪:憮然、四浪:唖然、五浪:愕然、六浪:慄然、七浪:呆然、八浪:超然、九浪:天然、十浪:無為自然