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【学級通信】(第062号)臨床心理士に聞いた「教育と子育て」

臨床心理士に聞いた「教育と子育て」

親子

acworksさんによる写真ACからの写真

先日、たまたま臨床心理士さんの講義「子育てに心理学が言えること」を聞いてきました。内容はとても面白く、これからの子育てとか、仕事(教育)について考えさせられましたので、内容を抜粋したものを掲載します。

01:「子どもの将来に渡る精神的健康に最も影響する因子は、良い夫婦関係を築いていること。ラブラブという話ではなく、ケンカしたりしつつも、ほどよく良好な関係か?ということ。だから、子育てについて考えるよりも夫婦関係を考えることが大切。」

(先生<スタッフ>たちの仲の良さも、子どもに影響与えているんですよね…)

02:「父親の仕事が増えると、母親の家事負担が増える。共働きだとして、母親の仕事が増えても、父親の家事負担は増えない。」

03:「昔に比べ、父親の家事や子育てに対する意識は上がっているが、実際の父親の家事労働時間はたいして変わってない。」

04:「父親が皿洗いをしても、母親の満足感は上がらない。なぜならシンクを掃除しないから。まれにシンクを掃除する父親がいても、母親の満足感は上がらない。なぜなら「皿洗ったよ」と自慢してくるから。」

05:「育児は母親に片寄りやすい。これは意識だけの問題ではなく、社会構造の問題点でもある。」

06:「子育て中の夫婦というのは、緊張と不満足の連続。母親は子どもが生まれると排他的になる。子育て中の不満が熟年離婚の原因になったりする。」

07:「男性は論理的に解決したい。女性は感情優位。お互い相手が変われば良いと思っている。」

08:「親密な時期は、「なに食べたい?」→「焼き肉」→(子どもっぽくて素敵♡)。背信の時期は、「なに食べたい」→「焼き肉」→(は?この暑いときに何いってんの?若くもないのに!)。夫婦は親密な時期と、背信の時期を繰り返す。」

09:「発達や心理学的に正しいと証明されている子育ての方法よりも、仲の良い人間関係の中にいることの方が、子どもの成長にはポジティブに働く。」

(仲の良いクラス、仲の良い部活、先生たちが仲が良い、先生と生徒の中が良い…そういう学校の方が、教育には良いと解釈もできますね)

10:「子どもの発達には、情緒的応答性(共感的に応じること)の高い養育者が必要だが、同時に多様な人間関係も必要。予防注射は薄めた毒を体内に入れることで免疫力があがる。社会で生きていくためには、センスのない先生や、いじわるするクラスメイトも必要。「もっといい先生が良かった」「あんなクラスメイト嫌だ」「うちの子にはこう接してほしいのに…」「え?そんな子がクラスにいるの!」と思ってしまうが、成長には必要なことだったりする。」

(昔お世話になった先生も、「純粋培養で人は育たない」と言っていました)

11:「子育てに避けたいことは、怒鳴る、叩くこと。怒鳴られたり、叩かれたりすると、怒られた内容ではなく、相手にどう対処するかを学ぶ。」

(昔は殴られて育った時代もありましたが、怒鳴る、叩く教育では人はなかなか育たないことは証明されています。謝り方を学ぶことは大切だとは思いますが、それは怒鳴らなくても、叩かなくでも学ぶことはできます)

12:「子育ては感情的になる。それは関係性が深いから。関係性がなければ感情的にはならない。隣の子が騒いでいても気にはならないが、自分の家の子が騒いでいたら注意したくなる。」

(他の学年の遅刻は気にならないけど、自分のクラスの遅刻はたしかに気になります)

13:「関係性が深いほど、思いをかけるほど、養育者の怒りは強くなる。怒っている人は傷ついている。」

(他の学年の遅刻は気にならないけど、自分のクラスの遅刻にはイライラします。何度言わせるんだ~(激オコ)となってしまいます)

14:「男性は泣いてはいけないというジェンダーを植え付けられているから怒る。女性は怒ってはいけないというジェンダーを植え付けられているから泣くことが多い。」

15:「自転車練習で子どもが「もうやだー」と言ったとき、男の子の場合は怒るが、女の子の場合は、「次頑張ろうね」と声をかけたりする。無意識のうちに私たちはジェンダーを意識している。」

(男子生徒への接し方と、女子生徒への接し方は確かに植え付けられたジェンダーがあるのかも…)

16:「養育者が落ち着いているときは子どもと良い関わりができる。良い関わりができない場合は、大人がイライラしているとき。養育者がいかに落ち着いていられる状態を作るかが大切。」

(忙しいときほど、怒ることが多かったりします。怒っているときほど、生徒との関係はうまくいかないのは自覚があります)

17:「子どもが道路に飛び出したときは、怒っていても心配がほとんどをしめるので、怒りの感情は少ない。しかし、子どもが手掴みでご飯を食べると烈火のごとく怒る。これは親の言うことを聞かなかったことに対する怒り。」

(自分の言う事は聞かせたいという感情は、親も、先生も、上司も同じかもしれません)

18:「母親は小さい頃から子どもの命の責任をかかえていて、自分がいると子どもが落ち着いたり、安心することを知っている。だから、自分の言うことを聞けなかったときに感情的に怒る。父親が「そんなに怒らなくても…」と言うと、「私の気持ちも知らないで!」となる。」

(隣のクラスの担任が怒っていると、(そんなことで怒らなくてもいいのに…)って思うけれど、自分のクラスでそれが起きたらすぐ怒ります(笑))

19:「しつけにはランクをつける。

1.絶対に止めさせなきゃいけないこと(命に関わること)
2.段々覚えていってほしいこと(1年以内に)
3.今は失敗してもいいこと(大人になるまでに)

ランクをつけることで、養育者の感情を落ち着かせる。」

(いつかできるようになってくれればいいかな…と思いつつも、いつできんだ!っていう不安と怒りで感情的になることもあります)

20:「子どもには自律神経の高ぶりを落ち着かせる体験が必要。」

21:「ヤンキーはすぐキレる。いつもキレている人はキレやすくなる。怒ってしまうと、さらに高ぶる。脳が興奮する。なので、怒っている子どもを怒ると、さらに興奮する。」

22:「子どもを怒る→興奮する→さらに怒られる→さらに興奮する→怒られていた人から離れる→落ち向く。この流れの中では、怒ることを抜きたい。まずは落ち着かせること。怒っているときは深呼吸ができないので、トイレに行ったり、濡れタオルを使ったりするとよい。」

23:「養育者の負担を減らすためには、援助者(祖父母、先生、親の会など)もサポート資源であるが、それがストレスの要因になる可能性もある。援助者はそれをよく考えなければいけない。」

(先生はどうしてもサポートしたくなりますが、それがストレスになることもあるということを忘れないように反省します)

24:「子育ての仲間の効果はエビデンスが示されているが、共有することの難しさもある。「わたしの方が大変」「分かってほしいけど、そんなに簡単に分かったとは言わないでほしい」など。」

(仲間は大切だけど、同じ経験や同じ考え方、同じ状況の人は少ない。隣の芝生はどうしても青く見えてします)

25:「子育てに対してありのままの感情を語れる場を持つことは大切。特に父親は語れない。父親がありのままを話せるのは奥さんにだけ。」

26:「問題が起きたときに、直線的因果律(一つの原因で一つの結果がおきる)ではなく、円環的因果律(いろんな要因がサイクルすることで結果がおきている)で考える方がよい。犯人(原因)探しは止めて、悪循環のサイクルと捉え、改善を考える方が良い。」

27:「背の低いキーパーがいるから失点する。ならば背の高いキーパーを雇えばよい。しかし、家族の場合は、取り替えることはできない。だから、失点前のセンタリングをあげさせないように努力をするという考え方が必要。それぞれがそれぞれの役割を自覚して補っていく。」

(クラス替えも、担任変更もできません。その中でそれぞれが活躍できるクラスにしたいです)

28:「問題の起こらない家族は存在しない。家族が平和でも、隣に変な人が引っ越してきて平和が乱されるかもしれない。家族に問われるのは、問題が起きたときにどう対処できるか。家族の安定とは、変化しないことではなく、変化に適応していくこと。」

(ただでさえ世の中が激変している今、変化に強く生きていくことが、個人にも家族にも必要ですね)

29:「相手を変えることはできない。変えることができるのは自分自身。しかし、相手にお願いすることはできる。今まで言ってこなかったけど、言ってみることで変わることはある。変わる確率は50%。」

(夫婦関係も、親子関係も、友達関係も、先生との関係も、うまくいくには自分自分が変化することが近道…まあそれがなかなかできないのが人間なんですけどね)