学級通信たまに教育雑感ブログ

実際に配布した【学級通信】を掲載しています

【学級通信】(第144号)N先生の授業見学に行った

N先生の授業見学に行った

戦艦

ずっと見に行かなきゃ見に行かなきゃと思いながら、ずっと行けなかった授業を見てきました。そうN先生の授業です。12/9(月)4時間目の授業に参加してきました。

N先生が醸し出す空気なのか、クラスの空気なのかはわかりませんが、緊張感が漂っていました。たぶんN先生の雰囲気だと思います。ザワザワすることはありません。今から何が始まるのかとみんながじっと見ているという感じでしょうか(まあ私が教室の真ん中にいたからかもしれませんが…そんなに影響力はないか)。

「何にも勉強するようなことは期待できないって言ったんだけど、見に来たいっていうから、まあどうぞって感じです」

私が授業に参加することを軽く紹介していただき授業はスタートしました。

「昨日は何の日ですか?知らないよね。私の世代はみんな知っている。太平洋戦争が始まった日、暗号はトラトラトラ。終戦記念日は8/15って言っているけど、ポツダム宣言受諾は8/14だから、本当の終戦はそっちかもしれない。戦争は遠くなった。みんな知らない。今、日本史の授業を担当しているが、日本史は暗い話をしなくてはいけない。本当に暗い。山川(教科書会社)は歴史をソフィスティケートに書いてあるけど、実教(教科書会社)はハッキリ書いてあるから、それも言わなきゃならない。世界史は楽だった。イギリスが悪いよねって話で終わるから。」

いきなり太平洋戦争の話でびっくりしました。一気に引き込まれます。そういえば真珠湾攻撃が行われた日と言うニュースがやっていたなと。戦争が遠くなった…という言葉に重みがあります。さすが社会科の先生です。

「同じく12/8はジョン・レノンが暗殺された日。イマジンは平和の歌。あのイギリスから平和を発信した。殺された理由はサインの仕方が悪かったら。キリスト教の人に聞きたい。ジョン・レノンはなぜ死ななければいけなかったのか?それも神が決めたことなのか?ジョン・レノンは最初の奥さんとのときは子育てをしなかった。だけど、オノ・ヨーコさんとのときは子育てをした。ロック系は子育てをする文化になった。子育てで活動を休んでいたが、そろそろ曲を作り始めようとして(復帰のアルバム)ダブルファンタジーを作ったあとに暗殺された。犯人が履いていたLevi's501のポケットには『ライ麦畑でつかまえて』が入っていた。」

悪者だったイギリスから平和を発信したジョン・レノンの殺害は暗殺なのか?反戦の歌の影響なのか?ライ麦畑…の小説が何か関係しているのか?興味は一気に広がります。少しネットで調べましたが、ジョン・レノンの死については、いろんな人がいろんなことを言っています。

「没後にトリビュートライブが行われている。ロイ・オービソンがビデオレターの中で歌ったHelp!は、ジョン・レノンはあ~いう風に歌いたかったんじゃないの?という感じで感動した。武道館でもトリビュートライブはやっている。奥田民生さんは上手だった~あの人は上手い。桑田佳祐さんも出ていた。手術のあとだったからライブでは歌えてなかった。オノ・ヨーコさんは強烈なオーラを発していた。」

ジョン・レノンの追悼ライブに行きたくなりました。調べたところオノ・ヨーコさんが毎年命日に武道館で開催しているようです。Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライブという名称のチャリティーライブです。

「テストの作文に謎の記号が出てくるようになった。全く読めなかったけど、文脈で読み取った(μ'sのこと)。それがラブライブだってことがわかって、生徒に何回見たらいいのか?と聞いたら18回は見ましたと言われた。みんなネクステ18周したか?ラブライバーたちは劇場版を18回見ている。だから私も18回見た。あれはスゴい。9人のキャラクターを完全に描き分けていた。声優のライブも見た。昔の生徒たちは聞かなくてもオススメを教えてくれた。特別教室で昼休みに流したら普段のライブよりたくさん来た。ラブライブの次は、けいおんを見た。その後はマドマギ。最初見たときは、この絵は無理~ってなったけど全部見た。あれは深い。サイコパスも見た。攻殻機動隊も見た。アニメに関する本も読んだ。けど、アニメの総論を書いているものは未だにない。けっきょくはエヴァンゲリオンに行き着いた。映画もテレビも漫画も全部見た。エヴァンゲリオンは何も解決していない。世の中に解決はない。なぜジョン・レノンは死んだのか?解決はない。長女のひなこに「これなんて読むのか」と聞いた。私が読むと「おにめつのかたな」なんだけど…お父さんそれ、鬼滅の刃(きめつのやいば)だからと言われた。鬼滅の刃はドラッグストアで平積みされていた。ドラッグストアは漫画を売るようになったのか?これだけ流行っていても朝日新聞にもAERAにも載っていない。世の中の知識層はサブカルを何もわかっていない。キングダムも賞をとってからようやく取り上げられた。私は中国史を知っているから読まなかったけど、あとで読んで読まなかったことを後悔した。」

エヴァンゲリオンからのジョン・レノンの死について…深い。世の中に解決はないんですという言葉に感動しました。私がエヴァンゲリオンを見たのは高校時代。一気に引き込まれ、謎のまま終わってしまった内容は、世の中に解決はなかったということを表現していたのかと納得しました。

「世の中はダイバーシティになっているのに、みんな同じものを見ている。あいみょん、髭男…みんな書く。ビッグデータが分析されているはずなのに、それぞれに合わせたものはオススメされていない。ビッグデータはまだまだ活用されていない。280人いると「夏目友人帳」を薦めてくる子が必ず一人いる。あしたのジョーを書いてくる子もいる。あしたのジョーは私の小6の頃。尊敬する人は?と先生に聞かれて「ケネディ」とか答えていた時代に(友達の)ヒデちゃんは「力石!」って答えていた。ヒデちゃんかっこぃー。高知の公民館では力石の葬式もやっていた。ヒデちゃんは泣いていた。本当はマークシートの方が楽だけど、作文を書かせて一人一人が違うことを確認できたのは良かった。文章を読むと一人一人のダイバーシティを確認できる。」

あしたのジョー…令和の時代に読んでいる子がいるんですね。私は高校時代に全巻読みましたけれど、あれは壮絶な物語です。なみだ橋を逆に渡る物語をもう一度読みたくなりました。多様な時代だと言われながらもSNSに流され、みんな同じことしか見ていないという現代において、文章を書いて自分の好きなことを薦めることでダイバーシティを感じられるというのはとても興味深かったです。

気がつくと授業終わりのエンディングが流れていました。太平洋戦争~ジョンレノン~エヴァンゲリオンビッグデータダイバーシティ…。こんな話を毎回聞けている生徒は幸せだと思います(まあ毎回ではないかもしれませんが)。私がどんなに授業を頑張っても勝てないと本気で思いました。卒業後10年経ってもN先生のことは全員が忘れないでしょうが、私のことなど30人くらいしか覚えていないでしょう。強烈な個性というものはそういうものなのだと思います。

N先生の授業を一回でも受けられた喜びを胸に刻みたいと思います。本校に6年いて授業を一度も見ないまま終えなくて良かった。皆さんもこの学校で受けた授業のことを覚えておくと良いですよ。授業にも世の中にも正解や解決はありませんが、誰に何を教わったかが自分の人生を形作っているのは間違いありませんから。

【学級通信】(第143号)めんどくさい儀式性が価値を高める

めんどくさい儀式性が価値を高める

アナログレコード

皆さんとお会いするのもぼちぼち終わりですね。1年間の担任といっても、3学期がないので10ヶ月のお付き合いでしたね。卒アル写真をチェックしたり、卒対委員のお手紙企画とかを聞くと、

(あ~お別れだなぁ~)

と感じます。寂しくないですか?私は寂しいです。三年生の担任になってからずっと感じています。

(あ~終わるんだよな~)

という得も言えぬ寂しさ。10年前に卒業生を出しときにはあまり感じなかったですけどね(笑)。いや、感じていたのかな?覚えてないが正しいですね。そのとき何となく感じていた感情など、過ぎてしまえば忘れてしまうものです。けど、それって悲しくないですか?

だから、卒対のお手紙企画はとてもステキだなと思いました。そのとき想っていた気持ちを綴る。相手にそれを送る。記憶は残らなくても手紙は残ります。残すためにワザワザ書いたという行為そのものにも価値があります。ワザワザ手紙を書く…という労力が私たちの気持ちを高めます。インスタでもTwitterでも気軽に記録ができるようになりました。世界中に発信できるようになりました。しかし、手紙の価値には叶わないと思います。(最近、提出頻度が落ちてきた)個人ノートも同じです。手書きに価値があるのです。アプリを起動して気楽に書くわけではない、ノートを開き、鉛筆を出し、机に向かい、想いを綴る。そこまで準備をしたのに、

「今起きた」

「マジだるい」

なんていうTwitter的記述だけで終わらないですよね。それが、ワザワザ書くために準備するという儀式的行為そのものの力だと思うのです。

先日、アナログレコードが流行っているというニュースを見ました。番組の中で、

「アナログレコードを再生するのは、めんどくさい手順が必要です。だけどその儀式性が音楽の価値を高める」

と言っていました。今の時代であればAmazon Musicか、Spotifyを起動して検索するのが最も効率の良い音楽の聞き方だと思いますが、アナログレコードはその逆を行っていますよね。

卒業を迎えるにあたって、いろいろやりたいことがあります。(担任が久しぶりですし、教科的に担任に入りづらいので、ひょっとしたらもう二度と担任をやらない可能性もあるかと思うと、やりたいことは全部やろうと思って生きています。振り回されている皆さんごめんなさいね。)その一つが卒業文集です。本当はやるつもりも、提案するつもりもなかったのですが、やっぱりやりたいなと最近気持ちが高ぶっています。きっかけは、Mさんの個人ノートに貼ってあった8歳の頃の手紙でした。

18さいになったMは、どんなこうこうにいっているのでしょう。あたまはよくなっているのでしょう。そろばんは、つずけているのでしょう。いまは8きゅうだけど、18さいのときはなんきゅうなのか、たのしみです。アルバイトは、なにをしているのでしょうか。いまのMは、じはふつうですけど18さいのMは、じはきれいになっていますか、それともきたないですか。しゅう学りょこうはたのしいですか。Mは、いま2年生なので、しゅう学りょこうはありません。Mは、とうきょう大学をめざしています。だから、いまママとパパに、じゅくをならわせてとおねがいしています。いまは、そろばんと、ユニホッケと、ピアノをならっています。ひこうきは1人でのれますか?

十年後の自分に当てた手紙。涙しましたね。子どもの成長というのは感動するものなのだと改めて感じました。そのときの自分が何を考えて、何を想像していたのかをきちんと記していることがどんなに素晴らしいことなのか。もしこれを39人の文集にしたらどうなるのか、ワクワクしませんか。

めんどくさいという気持ちはわかります。しかし、どうしてもやりたいなと。めんどくさいことにワザワザ挑戦するという儀式が、10年後の誰かに何かを与えるものになるはずだと思うのです。詳細は、全ては受験の終わったあとに提案します。

【学級通信】(第142号)ムカつくことはムカつくけど、それも教員生活なのだろう

ムカつくことはムカつくけど、それも教員生活なのだろう

悩む

次の文章を読んで、後の問に答えよ。

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昔よりキレなくなった。教員生活も長くなり、さまざまな経験をして、子どもにキレてもあまり意味はないということを学んだ。子どもにキレる教員を見て、あ~まだ彼も若いな~などと、したり顔になることもある。子どもにキレた保護者の話を聞いて、そんなに目くじら立てても意味はないのになどと思うこともある。しかし、だからと言って、子どもの全てを受け入れられるわけではない。ムカつくことはムカつくし、許せないことは許せないのだ。学校というところで働いていると、許せないことが毎日のように起きる。

高校最後の期末テストも終わり、クラスの1/4の進路が決まった今、許せないことが増えた。今まで見えなかっただけで、最初からそこにあったのかもしれない。

一昨日学校を休んだTが、

「先生、ごめん、この前ウソついて学校をサボった」

と、SHR後にサラッと言ってきた。

「人に推薦書を書かせ、志望理由書をさんざん添削させ、最後はほぼ担任の作文となったものを使い、面接練習もたくさん準備してもらって、小論文の練習も目いっぱいやってもらって、いろんな先生にお世話になったにも関わらず、進路が決まったら学校サボるようになっていいのか?それは人としてどうなのだ」

と興奮しながら私が言うと、

「先生ちょっと落ち着いて」

と、前日に学校をサボったMに言われた。それを聞いたTは、

「お前が言うなよ」

と突っ込みを入れ、その場の生徒たちは、「ははは」と笑った。

「私はそれでも生徒を愛さなければならないのか?」

と聞くと、Tは、

「先生頑張って」

と言った。後の席でそのやりとりを見ていたKが、

「みんな俺を見習った方がよいよ」

と言うので、詳しく理由を聞いてみると、

「俺、遅刻は多いけど、欠席はしないから」

と返ってきた。Kは現在まで12回遅刻し、遅刻指導の対象となっている。そこにYが入ってきて、

「先生、クラスのセロハンテープがないです」

と言ってきた。辺りを見渡すと一番前の席に座っているOが持っていた。Yはその席に行くとセロハンテープを使い始めた。それを見てOが、

「おいY!それオレのセロハンテープだろ」

と叫んだ。それはクラスのために私が置いたものである。私がOを一瞥すると、分の悪そうな顔をしてセロハンテープを元の位置に戻した。Oも私が推薦書を書き、志望理由書の作文を手伝った生徒だ。

職員室に戻った私は気持ちを落ち着かせ、他の業務にあたった。3時間目の授業から戻ってきた出席簿を見て、SHRにいなかったNが登校していることを確認する。学校も残りわずかだから遅刻しないで頑張れよ、と帰りのHRで私は言うのである。
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本文における筆者の気持ちや状態として適当でないものを、次の①~⑥のうちから選べ。

①教育者としての力量のなさを感じ、これから先の仕事を心配している。

②生徒たちの自分勝手な考え方に怒りを感じ、これからは割り切って生きていこうとしている。

③自分を応援してくれる生徒もいるということを信じ、卒業まで頑張ろうと決心している。

④時代と共に変化する生徒に対応できず、教職を辞めようとしている。

SHR中にずっとスマホをいじっていたFへの怒りを抑えている。

⑥セロハンテープはクラスの共有物であることを生徒に伝えてきれていなかったため、生徒を混乱させてしまったのではないかと反省している

【学級通信】(第141号)「現役生は最後まで伸びます」のカラクリ

「現役生は最後まで伸びます」のカラク

教材

塾でも学校でも必ず言われていることですが、

「現役生は最後まで伸びます」

「12月~受験直前まで成長します」

(え~ホンとかよ!)って思う人もいると思いますがホントです。だけど、これって信じて頑張った人だけが味わえるやつなんですよね。

今の時期(12月)は、だいたい2パターンに別れます。まずはAパターン。

・ぜんぜん伸びない

・もう受験勉強は嫌だ

中堅校の受験生はこのパターンの人がほとんどです。やれどもやれども伸びない…

「あ~も~やめてぇ!」

「浪人するからいいや!」

という謎の開き直りをしたりします。

けれども中には11月の模試の結果やセンタープレの手応えが良くて安心している人もいます。それがBパターンです。

・あれ?けっこうイケんじゃね~

・ちょっと頑張ったら伸びたわ~楽勝かも~

的な人たちです。Bパターンの人たちの方が順調そうな感じですが、どっちも最後に伸びないで終わるパターンです。

現役生が最後まで伸びるカラクリは、

「2学期の期末テストが終わって、受験勉強に100%時間が避けるようになって、今までの受験勉強のペースがさらに増していった人たちが伸びる」

ということなのです。だから、今、やっていることを途中で投げ出したり、諦めたり、安心したりせず、残された時間を目一杯一生懸命に過ごさなければならないのです。

期末テスト後の学校は、40分授業だったり、午前授業だったりします。今までより1~3時間くらい自由に使える時間が増えます。もうひと踏ん張りして気合いを入れてアクセルを踏んでください。

ちなみに何度も言っていますが、学校をサボったり、授業をバックレたりはしないでください。受験勉強をするために学校休んでも良いことはありません。学校サボると勉強が増えると勘違いする人がいますが、ほとんどの人は生活リズムを崩して、(トータルの)勉強時間を減らします。

(いやいや~そんなことないですよ~ちゃんと起きて毎日勉強できますよ~)

と言う人がいますが、毎日ちゃんと過ごせる人は、学校来ていてもちゃんと勉強できます。

学校は、生活リズムを整える上でとても大切な場所です。だから意思の弱い高校生たちは、土日や夏休みに受験勉強を追い込めないのです。休みの日に朝から追い込むのが難しいということは、今になるとよくわかりますよね?

この3年の2学期期末後~終業式までの二週間は、かなり勉強できる期間です。学校に通い、生活習慣を整え、最後の授業に感慨深さを感じつつ、真面目に毎日過ごしながら、必死に勉強してください。そういうクラスを期待しています。欠席・遅刻・サボりまくりのクラスで終わりたくはありませんので。

先日、Sくんの個人ノートにためになることが書いてありました。本人の許可をもらいましたので掲載します。

11/22,23と東進と河合の模試を受けてきました。自己採点の結果は両方ともボチボチでした。これが11月成績の伸び悩む期かと実感しました。けど、成績悪かった~本番オワた~が今回の本題じゃなくて、初めて2日連続で模試を受けてみた感想を書こうと思います。俺は東進でF君以外知り合いが皆無なので、校舎で試験を受けても自分の緊張の仕方しだいで、さながら当日の空気感が味わえる能力で東進の模試を受け、(この日はF君も見かけなかったので、さらに能力にバフがかかった)手応えがあまりよくなくて、俺のHPが削られた。翌日、池袋の立教に申し込んだので10:00に家を出て、都会の人混みに活力を奪われ、会場について、一発目の英語からヘロヘロになって、英語が終わって、昼休みも誰も知り合いがおらずボッチ飯をかまして、リフレッシュしないまま午後の科目を受けて、気づいたら理科が終わっていて、「あれ?数学は?」ってくらい記憶と解答を提出していました。まあ問題用紙に答えが書いてあったから、ちゃんと受けたんだなって解釈して、池袋でラーメン食べて帰りました。2日間模試ってなかなか体力もっていかれることを身に染みて感じて、2月の5,6,7日の三連発に打ち勝てるか今から準備しとかないといけないなと思いました。テストの点数悪かったのは悔しいけど、もっとやらないといけないと思わせてくれたし、本番じゃなかったので良かったです。(個人ノートより)

これから併願プランを確定させ、調査書の発行枚数を決めますが、受験の連続日程はよーく考えてください。思ったよりもキツいと思いますので、連続になる人はそれなりの覚悟を持っておきましょう。

【学級通信】(第140号)受験に関係ないからやりたくない

受験に関係ないからやりたくない

ボクシング

先日ホームルームで

「あと5日くらいしたら12月だからね」

と言ったら、皆さんザワついていましたが、ついに12月になっちゃいましたね。焦る気持ちはわかりますが、やるべきことを一分一秒惜しんでやってください。ポイントは、生活時間を崩さないことです。ちゃんと学校に来て、ホームルームに出て、授業楽しんで、友達とお話して、そして受験勉強に励む。余裕がなくなってイライラしたり、学校サボったりすると、総合的に効率は落ちますのでご注意ください。

「そうは言っても、授業なんて楽しめないっすよ」

という人も多いと思います。N先生と我らがキャプテンの対決で、倫理の授業が盛り上がったりすることもあるようですが、毎回とはいきませんよね。私も授業をしている人ですから気持ちはわかります。毎回「神回だ!」って言われるような授業はなかなかできません。もしできていたらカリスマ塾講師にでもなっています。つまらない回もありながら、面白いことを見つけて楽しむ…それが授業に臨む姿勢だと思います。

半クラスの現代文で、熱い授業が行われました。担当の先生は、国語科のS先生です。どんな授業が行われたかというと「詩のボクシング」という内容です。(?)ってなりましたよね?私も最初に聞いた時には(?)となりました。Googleで調べると、

ja.wikipedia.org

「ボクシングのリングに見立てた舞台の上で2人の朗読者が自作の詩などを朗読し、どちらの表現がより観客の心に届いたかを競うイベント。キャッチコピーを「声と言葉のスポーツ」、「声と言葉の格闘技」としている。」

Wikipediaより引用)

という説明がありました。これが授業で行われるなんてドキドキしませんか?きっと後半クラスの子たちもそう思ったに違いありません。

第1試合 Dくん vs Kくん

なかなかの好カードです。彼らを知っている人たちからすればお金を払ってでも見る価値があります。

机をロの字型にして作られたリングの中で試合は行われました。ゴングが鳴り、審判の「ファイ!」の掛け声とともに詩の朗読が始まります。先制はDくん。持ってきた詩は、AAのスタッカート・カノン。

「カノン、僕はもう行かなくちゃ…」

。出だしの語りで、フワフワしていた観客が静かに聞き入ります。Dくんは、淡々と、それでいてしっかり感情を込め、一文一文を味わうように朗読します。読み終わったときには、清浄な空気が会場に流れていました。Kくんの用意した詩はスピッツ。ウケを狙った選詩により、守りに入ってしまったKくん。本来の持ち味を発揮できず、結果はDくんの勝利となりました。

第3試合 Oくん vs Hくん

メイウェザー vs パッキャオ くらいのビッグカードです。試合はOくんが先制。リングに上がるとすぐに着ていた服を脱ぎ捨てました。中から出て来たのは「責任を伴う自由」と書かれたTシャツ。この試合にかける彼の意気込みを感じます。読まれた詩はオリジナルのもの。タイトルはシン・校歌。

「責任ともなうこの自由。手にした僕らの物語。あぁXX、我らの母校」

衝撃の出だしです。続きを観客が期待します。

「…言われてなければやっていい、原則禁止もやっていい」

「剥ぎ取り式は剥ぎ取るな、汗吹きシートは燃えるごみ」

…次々に出てくる言葉、どよめきや笑いが会場を包みます。終わったときには大きな拍手が巻き起こりました。Hくんのターン。持ってきた詩は、ねじめ正一の愛人マンボ。Oくんの本気さに彼は奮起します。朗読の途中で本を投げ捨て、

「あい、あい、あいじん、あいじんマンボ♪」

踊りとリズムを刻みました。堂々としたパフォーマンスに観客は大興奮です。結果は僅差でOくんの勝利。Hくんは悔しさのあまりリングに崩れ落ちました。本校のパウンド・フォー・パウンドが決定された瞬間でした。

朗読した生徒たちは本当に素晴らしいです。受験に関係ないからやりたくない、みんなの前で詩の朗読をするのは恥ずかしい、逃げ出したくなったり、批判したくなるのが普通だと思います。しかし、そんなことはお構いなしにやり切るマインド。入試にはあまり出題されない内容であっても、その瞬間を楽しむ。そんな彼らはきっとどんな環境でもやっていけることでしょう。ふざけるわけでもない、逃げるわけでもない、ルールを守りつつ、最大限に自分を表現した彼らを私は誇りに思います。

本校での授業もぼちぼち終わります。残りの授業日数は、12月→12日間、1月→5日間です。期末考査後の授業を消化試合だと思わず、最後の最後まで楽しんで卒業していってください。皆さんのファイティングスピリッツを期待します。

【学級通信】(第139号)結論、高校時代に交際はいらない

結論、高校時代に交際はいらない

高校生カップル

受験とか大学とかの話ばかりだと気が滅入るので、今回は恋愛について書きます。一年生の授業リフレクションに最近増えてきたのが、

「彼氏欲しい」

「くりぼっち回避」

「イルミを彼女と…」

みたいな話題です。(あ~始まったわ~)って感じですよね。この話題が出る度に、

「駆け込み乗車は危ないですからお止めください」

という言葉を1年生にプレゼントしています。くりぼっち回避とか言って付き合ったカップルは、バレンタインデーまでには終わっているという法則に誰か名前を付けてください。

まあ恋する気持ちは止められないわけですから、誰かを好きになっちゃうのは仕方ないことです。私だってそんな時代がありました。気持ちはわかります。しかし、交際となると一歩踏み止まって考えて欲しいのです。本当にその人でいいのかと…

私は本校の女子に「もっとお高く止まった方が良いよ」と言っています。理由は簡単です。相手の男のほとんどが未熟だからです。高校生のほとんどは精神的に未熟です。特に男子は未熟の極みです。きちんと交際できるほど成長していません。だって(うおーOOちゃんかわいいぃぃ!つきあいてぇー)程度の思考しかないんですよ(知らんけど)。だから、もしお付き合いするにしても、「待ち」が正解だと思うのです。成長するまで「待ち」です。今、どんなにかっこ良く見えても、どんなに大人に見えても、中身は中二ですから。

男の子が本当に成長するのはこれからです。18歳以降です。20歳くらいなると驚きの成長をとげます。陰キャ全開のあの子も、見栄えを張って小さい嘘をついていたあの子も、かっこ良くなります。2年後を楽しみにしていてください。(まじかよ…あのときもう少し仲良くしておけば良かった)ってなりますから。

大学生の成長は高校生のレベルをはるかに越えます。圧倒的に魅力的です。で、そういうことをわかっている大学生がバイト先の高校生にちょっかいをかけてきます。バイト三日目くらいにして「ちゃん付け」をしてきたら、狙われてると思いましょう。普段、中身中二の男子しか見てない女子高生はすぐに騙されますのでご注意ください。そもそも大学生が高校生にちょっかいかけてくる時点で、その大学生がどういう人間かは想像つきます。もちろんそうじゃない大学生もいると思いますが(知らんけど)。

じゃあ、高校時代に、彼氏や彼女はできないじゃん!と言われますが、その通りです。けど、それでいいのです。むしろそれが正解です。自分を磨いていく時期が高校時代だと思うのです。しかし、どうしても交際したいときはどうすればいいか?そういうときは、「束縛」「依存」をしないことを条件に判断してください。高校生のカップルのうまくいかない理由は、たぶんこの2つです。片方に依存されてうまくいかなくなる。片方に束縛されてうまくいかなくなる。束縛と依存がマッチすると、一見うまくいっているように見えますが、実は疑心暗鬼で危うい状態だったりします。そして、お互いさらに束縛と依存を強めたりします。

まあ交際を重ねて、成長していく人たちもいますが、未熟全開の高校生は、成長するよりも束縛、依存傾向に流れてしまう気がします。私の尊敬するKくんも、個人ノートにこう書いています。

「私の行動は自分が強くなることが前提で自分の力にならないことはほとんどやらないです。やっぱり名前にストロングって付いているから強くないと。強くない人間ほど彼氏彼女を作りたがりますが、強くない人は他人を欲しがる前に自分を欲しがる必要がありますよね。高校生はそこら辺がわかっていないのでコンプレックスを抱えた人同士がコンプレックスを埋めるために付き合いたがります。コンプレックスは誰にでもあるけれど、それを他人に頼るやつはもったいないなと思います。いつから私はそんな人間になったのかはわからないけど。まあ、ようするに私が言いたいのは一人でも楽しく生きられる世の中だね。」

ストロングな意見です。素晴らしい。こういう気持ちを持ち合わせてから恋愛していくことをオススメします。結論、高校時代に交際はいらない。しかし勘違いしないでください。交際はだめですけど、恋愛はしてOKです。(何度も言っていますけど)恋する気持ちは止められませんから。

【学級通信】(第137号)悩みは人に相談する

悩みは人に相談する

カウンセリング

11月は最後の模試のラッシュがやって来て、自己採点する度に喜んだり、悲しんだりする時期です。順調な人よりも、伸び悩んでいる人の方が多いと思いますが、立ち止まらないでください。前々回くらいの学級通信に書きましたが、大切なのは「やること全部やる3ヶ月」にすることですから。

間に合わないかも…

全然伸びない…

夏休み頑張っていれば…

受験生の鉄板の悩みです。こういう悩みを振り払うのに、開き直って

「今年受からなくてもいいや~」

とならないでください。浪人は目指すものではありません。今、目の前にある壁に立ち向かうこと。それを全力でやり切るしか不安は拭えません。というか不安はずっと拭えません。結果が出るその時までずっと不安です。だから、後悔したり、不安に苛まれたりする意味はないのです。

「本番ギリギリまでやれること全部やってやるぜぇ!」

となってください。悩むくらいなら勉強する!というマインドになれば、怖いものはなくなります。

そうはいっても、悩むものは悩みますよね。不安なものは不安はですよね。人間だもの…。簡単に自分の気持ちを切り替えられたらそんなに楽なことはありません。すぐに気持ちを切り替えられる人なんて、この世に何人いるのでしょうか。私なんて毎日悩んで、毎日苦しんでいます (笑)。もともとネガティブな人間ですから、すぐに落ち込みます。数年前の失敗を未だにモンモンと悩んでいたりします。まあ私のネガティブ自慢はど~でもいいのですね。私が言いたいのは、人間悩むのが普通だということです。

じゃあ、もんもんとした悩みは、いったいどうしたら良いのか?

簡単です。人に相談すれば良いのです。太古の昔から、困ったら人に相談するのが悩みの鉄板解決法です。とくに皆さんは高校生ですから、相談できる人が周りにたくさんいます。保護者や友達はもちろん、学校には先生という人たちがたくさんいます。どんどん相談しに行ってください。3学年の先生方は年齢も教科もバラバラですから、いろんな意見が聞けると思います。


S先生

皆さんに年齢が近い。学年唯一の理系の先生。理系で悩んだら、この人に相談しない手はありません。

Y先生

皆さんに年齢が近い。平安生まれの噂もある国語の先生。古文漢文で伸び悩んでいる人はどんどん相談しましょう。

N先生

現代文と言えばこの人。現代文で伸び悩んでいたらさっさと相談しましょう。

A先生、T先生

学年の英語の先生です。授業でバシバシやっていただいています。英語を制するものは受験を制します。学年に二人も英語の先生がいるなんてとても幸運なことです。

体育ならB先生、芸術ならS先生、社会科ならM先生や、D先生、L先生(進路部指導部の先生でもあります)…他にもたくさん3年生を受け持っている先生はいらっしゃいます。教科のことでなくても、皆さんの悩みに真剣にアドバイスをいただけると思います。昔はN先生に相談しに行く子も多かったです(最近はビビって行かない子が増えました)。ちなみに進路の悩みは進路指導部の先生に聞くのが一番です。国語のQ先生やW桃子先生、英語科のR先生、数学科のU先生、社会科のL先生(二回目の登場)が進路指導部の先生です。どんどん相談すると良いでしょう。

悩みと言うのは人に話した時点で半分は解決します。人に話すことで悩みの状態が確認できるからです。さらに、アドバイスがもらえれば、もうほとんど解決です。そういうものです。皆さんの悩みなど、本校の先生方の手にかかればすぐに解決することがほとんどですよ(まじで)。受験勉強でも、進路でも、その他でも、悩んだら先生方をどんどん使いましょう。

(追記)

生徒同士で受験の悩みを相談し合うときは、傷のなめあいになることは止めましょう。経験上、悪い方向に引っ張りあって切り替えられなかったり、うまくいっている友達のことを恨んだりする場合がありますので。

【学級通信】(第138号)人生で大切なことは予備校で学んだ

人生で大切なことは予備校で学んだ

予備校講師

あと一週間で2学期の期末試験になります。みんな一緒の「普通の」高校生活を味わえるのも残りわずかです。あーこのクラスには何にも貢献できなかったなぁと(授業のかまちょも弱かったと反省しぃの)心沈む…政治・経済の副担任です。

一生懸命勉強しているみなさんが瞳の片隅によぎると、ふと受験生だった頃が蘇ります。副担任の大学受験時代は日本史上最も過酷な倍率の時代でした。現役で大学に行けることを「偶然」といい、一浪を「当然」で人並み、二浪を「平然」…という時代でした(※)。浪人時代通った予備校は、授業の面白さ・魅力(まぁ講師のパフォーマンス力)を売りにする予備校でした。(一社会人としてはどうかと思うけど)キャラ濃すぎる講師のメンメンが、ある講師は授業よりも大切なことと称して歌を歌い、またある講師は花火を打ち上げ、授業中にクリスマスパーティを開くという…で、授業は自称ハイレベルという、なかなか香ばしい授業を受けてきました。そういう講師は、平凡な人生の道を踏み外している分、発する言葉が深い(その深さから沼にはまる受験生多数…)。

夏休みにある生徒のAO志望理由書を添削していました。その志望理由書は自分が幼い頃から(学校の内外で)一生懸命取り組み、結果を出してきた、ということをアピールしていました。それは多くのライバルよりも頑張ったから、負けたくないと一生懸命取り組んだから結果がついてきたんだし、そこもアピールしたいし、それが私らしさ(要するに自己PRポイント)だし…と言いたいわけです。それを読む副担任を生徒はじぃーと見つめ(いや、睨みつけ)ているのです。その時、ふっと予備校講師の言葉がフラッシュバックしてきたんです。

その先生は講習でたった2日間だけ習った数学の先生でした。俺は第一志望の国立大学に落ち、併願先の私立大学に行った。そこでは第一志望の大学に落ちて仕方なく来ている同級生が劣等感に苦しんでいる様子を見て、

「自分はこの大学に来たことを誇りに思っている」

ということを本当に誇らしげに語る先生でした。その先生は名言を色々残していて

「君たちはお互いを高め合うWin-Winの関係が築けるような人間になってください」

「相手の負けを願うような人間になってはいけない」

…本当は社会の先生ですよね、的な感じで。こんな先生に習っていながら、副担任は大学受験も(卒業も)、就職試験もしくじりました。ある就職試験では最後の理事長面接までいったのに、そこで言われたのは

「あなたは社会人としての基本がなっていないから、ここで面接指導をしてあげる」

と、就職試験で面接指導をされる(しかも理事長室で!)という屈辱が…。今考えると不思議なめぐりあわせなんですよね。どう考えても受験とか進学指導とかの適性がない人物なんですよ、私。なのにそういう人が本校では進路指導部だって。前回(かな)の学級通信で「悩みの相談…」で2回も登場させていただきましたけど(笑)。

なかなか実力や成績(点数)が伸びてこない、焦りが先に来る、もはや焦りすら感じず、夢遊病者のことく目の前の問題を解いて答え合わせして…そんな様子を放課後の教室や(なぜか、政治経済の授業中にも!?!?)見られます。みなさんが今している答案は誰に向かって書いてますか。採点者?、面接官?、違うんですよ、究極的にはあなた自身にも向かって書いているんです。このことに気づいたのは、その先生に習ってから20年以上経っていました。遅っ!!!

もう少しで11月も終わります。あの予備校からの帰り道、寒い北風と煌々と照らす、代々木から見る新宿の夜景の中から通奏低音のように聞こえてくるクリスマスソング。さ、あと1週間、1か月、4か月後ににっこり笑って卒業しようね(とN先生風に)。

(※)

三浪:憮然、四浪:唖然、五浪:愕然、六浪:慄然、七浪:呆然、八浪:超然、九浪:天然、十浪:無為自然

【学級通信】(第136号)勝ち組とか、負け組とか

勝ち組とか、負け組とか

格差

先日、ホームルームでアンビシャスという冊子を配りました。この冊子は、さまざまな職業人へのインタビューを掲載しているものです。大学の志望理由や、大学での学びの内容なども掲載されていて、その人の経歴やどんな勉強をしたのかがよくわかります。Webサイトではバックナンバーも含めて全て読めます。

www.amb100.com


ホームルームで時間もあったので、このアンビシャスを使って少し話をしました。1ページ目にはこんな経歴の人でした。

都立国立高校早稲田大学大和ハウス

国立高校はご存じの通り都立のトップ校です。文化祭も有名です。ロッカーの装飾やら、教室演劇やら、門の前の看板やら…どれをとっても他の高校では叶わない感じです。毎年、東大生も輩出しています。

平成31年の進路結果(現役))
東大9、京大11、一橋12、東工大
早稲田45、慶応15、上智6、理科大26

すげぇ…って感じですよね。しかもちゃんと現役と既卒を別々にして資料を公開しています。普通は小さい文字で「現役と既卒の計」って書いておいて、進路結果を良く見せるのが一般的です(私の経験上)。騙された!って思うかもしれませんが、どの学校もそんなもんです。私大の結果なんて累計ですから、一人で早稲田3つ受かっていても「3」という数字が出ます(それを見て、うわ~3人受かってるんだ~となる中学生が何人いるのかは知りませんが、少なくない気がします)。

2ページ目は、こんな経歴の人でした。

「都立富士高校→都市大→大成建設

富士高校は現在、中高一貫になっています。都立の中高一貫になった学校は、だいたいその地区のナンバー2、3の学校です。富士高校だと、西高がナンバー1で、その下といったところでしょうか(間違っていたらゴメンナサイ)。中高一貫になる前の最後の富士高校の進学結果は、次です。

平成26年の進路結果(現役))

東工大1、首都大8、横浜国立1
早稲田9、慶応16、上智3、理科大

なかなかの数字ですよね。都立の上位校であった富士高校のレベルからみれば、東京都市大学は偏差値的にはそんなに高くはありません(ちなみに都市大は理系の老舗大学です)。一人目は「国高→早稲田」、二人目は「富士高→都市大」でした。さあこの二人を比べてどうでしょうか。どちらが良いとか悪いとか言えますか? 

では、大和ハウス大成建設はどうでしょうか?最近はネットで年収まで調べられます。

<CareerPicks 転職系の情報サイト>

career-picks.com

 

(平均年収)
大和ハウス → 893万円、賞与200万円
大成建設  → 987万円、賞与280万円

 

年間100万違うのはなかなか大きいかもしれませんが、どちらが良いとか悪いとか言えますか? 

私たちは知らず知らずのうちにいろんなものを格付けしています。それを煽る人もいますし、勝ち組とか、負け組とかいう言葉もよく使うわけです。私は、お金も学歴もあるにこしたことはありませんが、絶対の基準ではない…と考えています。何を基準に生きるのか?皆さんはどういう世界(基準)で生きたいですか?

アンビシャスの最後の方には、

松が谷高校帝京大学(経済学部)→京王電鉄の運転士」

という経歴の人が登場します。中吊り広告を見て興味を持って京王電鉄を受けたそうです。「国高→早稲田→大和ハウス」には見劣りするかもしれませんが、毎日大勢の人の役に立っているという点で言えば、この人が圧勝ですね。

けっきょくは、自分の中の価値基準と、やっていることに対するパッションだと思うのです(仕事以外へのパッションも含め)。だから人生に勝ち負けなんてないのです。

「やりたいことをやり、なりたいものになれ」

…これが一番大切なのではないでしょうか?

【学級通信】(第135号)学問のすゝめ

学問のすゝめ

たくさんの一万円札

先日、生徒に本を貸しました。推薦試験の面接などで「最近読んだ本について教えてください…」的なことも出てくるからです。本来ならば本というものは普段から読んでおくのが…などと書けば、本を読めっていう学級通信になるので、それは次回以降にしようと思います。

今回、貸した本は以下です。

○ 現代語訳 学問のすすめ

○ 不思議なキリスト教

○ ルポ貧困大国

全部新書です。ちなみに今の高校生は新書って言ってもわかりません。新書って何?でっかい本?とか言われます。(まじか…日本終わった)って感じです(笑)。グーグル先生が分かりやすく教えてくれたので載せておきます。

【新書 しんしょ】

出版物の形式の一つ。B6判より少し小型で、余りかたくるしくない書き方をした教養ものや小説などを収めた叢書(そうしょ)。

とありました。わかりました?皆さんが今、必死になっている英単語帳くらいのサイズのだいたい白をベースカラーにした本屋にずらーっと並んでいる教養ありそうなオッサンが電車の中で読んでいるアレです。

その新書より小さいのが文庫です。文庫って何?って人はもうかなりヤバイので、図書館に行って、司書で国語科のY先生に、文庫とは?新書とは?ハードカバーとは?とか習ってください。まじで。

閑話休題。今回貸した本の中に「学問のすすめ」があります。さあここで問題。「学問のすすめを書いた人は誰?」。大丈夫ですよね?一万円札の彼です。みんな大好き諭吉です。諭吉、諭吉って親しみを込めて呼んでいますよね。そんなに愛されている彼が書いたベストセラー…それが学問のすすめです。すすめの字が「すゝめ」になっているのも記憶にないですかね?

この本を読んだことある人はたぶんそんなにいないと思います。私もそうでしたし。だって昔の文体なんて読めないもん(笑)。だから大人になって現代語訳を発見して読んだわけです。しかし、さすがのわたしでも最初の出だしは知っていました。さあここで問題。「学問のすすめの最初の出だしの文章は?」。同じ質問をその辺にいた子たちに聞いたら、「わからない」の連発でした。「天は人の上に…」くらいまで言っても出てきません。正解は、「天は人の上に人を造らず」です。あーってなった人の方が多いことを祈るばかりですが、全く知らなかった人たちは一万円札のおじさんが言っていたことの一端でも覚えておいてください。ぜひ一度この本を読みましょう。現代語訳なので読みやすいですし、明治の頃書いたはずなのに、ちゃんと現代でも通用します。

「何で勉強しなきゃならないの?」

というみんながずっとモンモンとしていて、受験期になるとさらに深まる疑問(勉強から逃げたいだけなんですけど)についても、冒頭でちゃんと書いてあります。

簡単に言えば、貧乏にならないため…って読めますよね。今の時代にここまで書いちゃうと、炎上しそうですが、現代でも十分に当てはまると思います。読みすすめると、自由とか独立とかいう話も登場しますし、何を学べばいいのかもちゃんと書いてあります。勉強するということはとても意味がありますから、受験期でモンモンとせず、迷わず行ってください。行けばわかります。

さあ最後の問題。「諭吉が作った学校は現在の何大学?」もちろん皆さん知っていますよね?まあ知らなくても生きていけますが、知識というのは、人を自由にし、幸せにする(お金を得ることも含め)ものですので、無いよりあった方が良いと思います。勉強する人生であってください。勉強の基本は読書だと思います。本を読む人生であってください…ってけっきょく読書のすゝめですね。

「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」と言われている。つまり、天が人を生み出すに当たっては、人はみな同じ権理(権利)を持ち、生まれによる身分の上下はなく、万物の霊長たる人としての身体と心を働かせて、この世界のいろいろなものを利用し、衣食住の必要を満たし、自由自在に、また、互いに人の邪魔をしないでそれぞれが安楽にこの世をすごしていけるようにしてくれているということだ。しかし、この人間の世界を見渡してみると、賢い人も愚かな人もいる。貧しい人も、金持ちもいる。また、社会的地位の高い人も、低い人もいる。こうした雲泥の差と呼ぶべき違いはどうしてできるのだろうか。


その理由は非常にはっきりしている。『実語教』という本の中に、「人は学ばなければ、智はない。智のないものは愚かな人である」と書かれている。つまり、賢い人と愚かな人との違いは、学ぶか学ばないかによってできるものなのだ。


また世の中には、難しい仕事もあるし、簡単な仕事もある。難しい仕事をする人を地位の重い人と言い、簡単な仕事をする人を地位の軽い人という。およそ心を働かせてする仕事は難しく、手足を使う力仕事は簡単である。だから、医者・学者・政府の役人、また大きい商売をする町人、たくさんの使用人を使う大きな農家などは、地位が重く、重要な人と言える。


社会的地位が高く、重要であれば、自然とその家も富み、下のものから見れば到底手の届かない存在に見える。しかし、そのもともとを見ていくと、ただその人に学問の力があるかないかによって、そうした違いができただけであり、天が生まれつき定めた違いではない。


西洋のことわざにも「天は富貴を人に与えるのではなく、人の働きに与える」という言葉がある。つまり、人は生まれた時には、貴賎や貧富の区別はない。ただ、しっかり学問をして物事をよく知っているものは、社会的地位が高く、豊かな人になり、学ばない人は貧乏で地位の低い人となる、ということだ。

 

<引用>
現代語訳 学問のすすめ
著者 福澤諭吉 訳者 齊藤孝
ちくま新書

 

【学級通信】(第134号)やれることを全部やるのが受験勉強

やれることを全部やるのが受験勉強

勉強

学級通信の発行ペースが早まっている担任です。いちおうトータルで150号を目標にしています(たぶん届きません…3年生は三学期にほとんど登校しないので、2月に執筆しても配る相手がいません…)。最近は、配布したけど読まずに捨てられている率が高くなりました(涙)。まあ、文字数も多いですから仕方ないですね。数えたらだいたい1900字くらいでした。しかし、これくらいの文字数は3分もあれば読めると思います。ですから、捨てるにしても読んでから捨ててください。センター国語の評論に「この学級通信」が出るかもしれませんから(今回の政経のテストには採用されました)。

さて、10月が終わりました。今日から11月です。教室の後方に貼ってある年間行事予定表もどんどん斜線が引かれていきます。皆さん受験勉強の状態はいかがですか?さすがに受験勉強をしていない子はいないでしょうが、全て順調に進んでいるという子もいないと思います。みんな不安の中を過ごしている状態ではないでしょうか?えもいえぬ(言葉では何とも言い表せない様)不安が教室に充満しているようにも感じます。

「気合入れろ!」

と強く言うと爆発しそうな気もしますし、けど、のほほんと過ごして欲しくはないですし、担任としてもどういう空気になってもらいたいか迷走中です。

受験勉強が順調だろうが、そうじゃなかろうが、入試は必ずやって来ます。一般入試が始まるのは、基本的に2月1日からです(早い人だと、センター試験直後の1月後半から始まる大学もあります)。そうすると残り3ヶ月です(裏面のカレンダーを参照)。私が、口うるさく、

「一分一秒惜しんでやりなさい」

「休み時間や昼休みもやりなさい」

「進路決まった人は邪魔しちゃダメです」

と言っているが意味わかりますよね?受験生は、今が人生の節目なのです。人生が大きく変わる時です。Steins;Gate風に言えば、世界線が変わる時です。世界が変わる…と言うのは大げさかもしれませんが、本校での3年間が、もし、違う学校で過ごしたものだったら、世界が変わっていますよね?

受験に受かるかどうかは誰にもわかりません。しかし、自分のベストを出し切ってその日を迎えたかどうかは、とても重要だと思います。

「3ヶ月、自分の最大限をやりきった!これでダメなら仕方ない!」

という段階までやり切りましょう。AOでも、推薦でも、一般受験でも同じです。自分のできることは全てやり切ったか?それを毎日積み重ねて、3ヶ月過ごししてください。

ちなみに私も同じです。担任としてできる最大限を出しきって応援したいと考えています。だから、ちょっとでもフラフラしている子を見かけたら、

「一分一秒惜しんでやれ!」

と言うわけです。もし、ダラダラしている受験生を無視してしまったら、やりきれなかった生徒を受験に向かわせることになります。厳しいことを言うと嫌われますが、私が嫌われることよりも、ベストを尽くさせられなかったことの方が悲しいと思うのです。三年の学級通信第2号に書いた私の目標は、「全員の第一志望を叶える」です。

(学級通信第104号より)

全員の第1志望を叶える。皆さんの3年生での第1目標は「進路実現」だと思いますが、私の一番の目標も同じです。しかし、皆さんに代わって受験をしたり、就職したりすることはできませんので、基本的には応援するだけです。皆さんの夢が実現するための出来る限りのサポートをしていこうと思っています。

johoteacher.hateblo.jp


第1志望を叶えるというのは、私だけでなく皆さんも同じですよね?だから全員で実現しましょう。すでに実現した人も一緒に応援してください。そういう教室を作りたいと思っています。

これからの3ヶ月の目標は、「やれることを全部やる」です。意味があるかとかないとか、モチベがあるとかないとか、そんな段階はもう終わりました。とにかくやれることを全てやり尽くしてやりましょう。手っ取り早くできることを一つ紹介します。連休明けのマーク模試は鉛筆にしてください。マークを塗るスピードが格段に上がります。1分でも縮まって、一題でも二題でも正解数が増えれば、三教科合わせて大きく変わります。本番なら合否が別れます。文房具一つで人生が変わるなら、試さない手はないはずです。

(PS)昨日、朝から勉強していたHくんが廊下のフリースペースで音読をしていました。周りに見られたら恥ずかしいとかおかまいなしです。まさに全部やる姿勢だと思います。

【学級通信】(第133号)緊張するあなたへ

緊張するあなたへ

組んだ手

模試で緊張してしまい、実力が発揮できない…そんな話を最近よく聞きます。成績の良い生徒でも緊張するかが気になったので、先日の河合マーク模試で英語178点を出した子に聞いてみました。

私:「ねぇ、あなたくらい点数取れても、模試って緊張すんの?」

模試高得点のS君:「緊張しますよ。ずっとハァハァ言っている感じです(笑)」


と言われました。他の子にも聞いてみると、

天才のN君:「俺はまったく緊張しません。むしろ本番の方が強いです」

勉強したくないが口癖のK君:「ぼくは何も感じません(笑)」

などと言った意見が出ました。緊張するかしないかは成績に関係なく、人それぞれなのでしょう。

ちなみに私は緊張するタイプです。大勢の前で話さなければならない場面では、足は震えますし、手も震えますし、声も震えますし、嗚咽も出ますし…小さい頃からずっとです。十数年授業をしていても、緊張がなくなることはありません(入学式の呼名なんてド緊張でした。あー卒業式が心配)。けど、私の場合、最初の1分くらいが過ぎると緊張はなくなり、いつも通り(練習通り)になります。

緊張せずに普段の実力を発揮するにはどうしたらよいのか?これといった答えが出なかったので、google先生や職員室の先生に聞いてみました。私の中でしっくりきたものを紹介します。

1.自分を俯瞰する

「始め!」となった瞬間に、教室の上から自分を眺めている感じを想像すると落ち着くそうです。自分を客観視する。ビビっている自分を第三者視点から見るイメージだそうです。

2.ルーティーンを決める

試験が始まった瞬間に必ずやることを決めておくと、パニックになることを防げるかもしれません。最初にページ数を数えるとか、深呼吸するとか、30秒を数えるとか、心の中で何か叫ぶとか…自分が落ち着けそうなマイルーティーンを普段の勉強時から儀式化しておくと良いでしょう。

3.瞑想する

マインドフルネスって知っていますか?呼吸に集中しながら、今、ここにいるってことを意識する瞑想のことです。世界中で実践されていて、集中力がアップしたり、心が落ち着いたりするそうです。目を開いていても、歩きながらでもできます。試験前に3分くらい目をつぶって行うだけで意識が変わるはずです。私も4月くらいに実践していたので、瞑想用の音源を持っています。試してみたい人はあげますので、声をかけてください。

4.面白いエピソードを思い出す

緊張しているときはやはり笑いですね。爆笑したときのエピソードを思い出せば、神経も落ち着くはずです。

5.好きな人を想像する

推しとか、彼氏とか、彼女とか、友達とか、家族とか、大切な人を想像すれば、頑張ろうという気持ちになれるかもしれません。私がカリスマ先生なら「大丈夫!俺がついてるぜ!」とか言えるのですが、ただのオッサンなので、私を思い出しても意味はありません(笑)。

何か使えそうなものありましたか?私のおすすめは「3」のマインドフルネスです。普段からやり慣れておくと、集中のスイッチ入りやすくなると思います。

極度な緊張はほぐした方が良いですが、緊張そのものは悪いことではありません。緊張する人は、自信を持ってください。そもそもなぜ緊張するのか?それは勉強しているからです。何の勉強もしていない人は緊張しません。良い点が欲しい、それなりに頑張ってきた、そういう気持ちがあるから緊張するのです。ですから緊張している自分を少しでも感じたら、頑張ってきた自分を褒めてあげてください。模試が配られた瞬間に寝ていた1,2年生の頃とは違うのですから。

【学級通信】(第132号)パッションとか、こだわりとか、信念

パッションとか、こだわりとか、信念

家系ラーメン

毎日タラタラ暇そうに見える私ですが、土日に部活で出勤することもあります。先日の日曜日にはコンピューター部がロボット競技大会に出場するため、午前に学校、午後は他校に出勤でした。

本校ある街の日曜日は、家族連れで超賑わっています。ホームセンターのフードコートなんて一人で行っても座れません。席取りのじいさん、ばあさんとの戦いになります(笑)。ISETAN前の公園も、商店街も人で溢れます。その日、私は本校のある駅からM駅へ移動しなくてはならなかったので、11時くらいに学校を出発しました。セブンイレブンでご飯を買い、そのままホームセンターの前の道から駅へ向かおうとして衝撃を受けました。なんと、

タピオカ屋さんにお客さんは0人

だったのです。あれだけ混んでいたタピオカ屋さん。タピオカ最高とか言ってインスタグラムに取りつかれていた女子高生は跡形もなく消えました。日曜日にISETANで買い物をしにきた大きめのサングラスと大きめの帽子を被ったマダムたちも寄り付かなくなりました。そこにはバイト募集のチラシだけが寂しく貼ってあっただけです。時給は1,050円。時間は9時~22時のシフト制。業種は店頭販売、接客。正社員登用もあり。資格は18歳以上。従業員割引、交通費支給ありですが、けっこう調べても運営会社の名前すら出て来ません。いったい経営母体はどこなんでしょうか?…なんてことを疑問に思いつつ、流行りというものの儚さを感じながらタピオカ屋さんの前を通り過ぎました。

そんな話を授業で1年生にしたところ、授業リフレクション(授業の感想)には、

生徒A

「タピオカはまだまだはやるし絶対のみにいったほうがいいです」

【生徒B】
「タピオカ屋さんも電子マネー対応して欲しいですね。あ、タピオカといえばS駅に新しいタピオカ屋さんができたの知ってますか?おすすめはファイアータピオカミルクです!なんでファイアーなのかはわかりません。あと店内の装飾が可愛いんですけど邪魔すぎてイライラしました。先生もタピオカが時代遅れになる前に飲んでおいた方がいいんじゃないですか?」

【生徒C】

「アリトルオイシイから先生絶対タピオカ飲んで!!!おすすめは抹茶ラテです」

なんてコメントが並びました。(本当にまだ流行ってんの?)と思ったので、帰りに店の前をもう一度通りましたが、部活帰りっぽい男子高生が店内で2人飲んでいただけでした。やはりもうタピオカの流行は終わったと思うんですが、違いますかね?

私的にはタピオカ屋さんにはあまりパッションを感じません。何か違うものが売れそうなら、そっちに乗りかえそうな気がするからです。タピオカに情熱を燃やしているわけではない…そう感じるのは私だけでしょうか?ちなみに「(ラーメン屋の)せい家」からはパッションを感じます。あの店は、売れるからといって塩ラーメン売ったりしないはずです。(もちろん情熱をもってタピオカ屋をやっているお店もあるとは思います)

もちろん商売ですから利益を出すということはとても重要です。しかし、私はパッションを感じるものを応援したい。極端な話、

「私は、これを命を懸けてでもやりたいんだ!」

というものに人は感動し、応援すると思うのです。ノリと勢いだけのものは、なかなか応援できない。ノリと勢いだけでは動けなくなってしまったあたりがオッサンなんだろうなと、寂しく思う部分もありますが、それが大人になるということなのかもしれません。

物事を動かしたり、新しいことをやるときには、ノリと勢いは必要です。しかしそれ以上に、情熱とか、こだわりとか、信念が大切だと思います。というより、それを失ってはいけません。受験勉強も同じです。ノリと勢いで進みつつ、最後は信念です。私もパッションもって教育活動を頑張ろうと思います。

【学級通信】(第131号)受験できるという幸せ

受験できるという幸せ

勉強する小学生

「二月の勝者」という漫画を知っていますか?この漫画は、中学受験を目指している子供たちと、それに関わる家族、塾の物語です。一昔前のドラゴン桜的な感じかもしれません。

音楽科のK先生からお借りして5巻まで一気に読みました。なかなか勉強になります。小学生が塾でどういう状況なのか、中学受験を目指す塾はどういう風に経営しているのかなど、高校で先生をしていても実は知らない…ってことを教えてくれます。私の中での中学受験塾は、受験のときに同じ格好をして集団で応援しにくるイメージです。特に●●●の白いベンチコートの集団は印象に残っています。私は前任校が中高一貫校だったので、入試のときは応援の人たちの整列で必死でした。「敷地に入らないでくださ~い」って注意しても入ってくる塾関係者たちとの戦いを経験すると、

(まあこの人たちも必死だし、子どもたちはもっと必死なんだよな~)

と考えさせられます。

漫画は、大手塾から引き抜かれた校舎長が

「君たちが合格できたのは、父親の経済力と母親の狂気」

と子供たちに言うシーンから始まります。なかなか衝撃的な台詞ですが、まあそうなんですよね。塾に行かずにご三家(開成、武蔵、麻布)に受かるわけもなく、お金をかなりかけなければ届かないのが受験の現状です。具体的な金額の話も出てきます。6年生の一年間で150万くらいかかると書いてありました。コンパクトカーくらいなら新車買えます。

お金をかけなければスタートラインに乗れないのに、お金をかけても受からないのが中学受験…本当に厳しい世界です。その点、大学受験はいいですよね。センター試験は教科書を逸脱しないし、学校の先生も質問対応してくれるし、大学受験のテキストなんていくらでも売っているし、赤本だって学校で貸し出ししていますし、塾に行かずとも勉強できる環境がいくらでもあります。

さらに、高校受験と違って(基本的に)内申点など存在しませんから、実力一発勝負という点では公平性が保たれていると思います。漫画の中でも

「高校受験?大っ嫌いです。だって同じ学力の子が並んでたら、より「先生に好かれた生徒」の方が有利なんですよ?かたや、中学受験。「本番のテストで点数をクリアさえすれば合格できる」明快で気持ちいいですね。私は中学受験が大好きです。」

なんて台詞も出てきます。中学受験も、大学受験に似ています。まあ最近ではこの一発勝負ではなく、その人の内面や、成長プロセスも評価しようという流れで、ポートフォリオや達成度テストなどの導入も始まろうとしています。

漫画には

「中学受験は、大学入学への特急券です。塾はそこへ確実に行き着くための指定席」

だと書いてありました。そこに乗らないで公立高校へ行った場合、いわゆるmarch以上に勝負できる学校は、上位1/4くらいかと思います。この中に本校は入っています。入っているからmarch以上に受かるというわけではありません。けど勝負できる(受かるかどうか半々くらい)ところまでには行き着けます。さらにはその上の早慶上智にも届く子は届きます。

漫画を読んで強く感じたのは、公立高校に来て、大学受験を目指している皆さんは幸せだなということです。中高一貫の大学付属に行くわけでもなく、公立高校でストレスなく生きてきて、最後に大学受験に勝負させてもらえ、しかも難関校へすら挑戦できるのですから、これを幸せと言わず何と言えばいいのか。

今、受験で辛い時期かもしれませんが、そこを乗り越えて、勝負するところまで行き着いてください。一般受験でも、AOや公募でも、今やっていることに全力で集中です。自分が選んだ進路を目指せる、その中に大学受験が入っているということは、本来、とてつもなく幸せなことなのですから。目指せる幸せを感じつつ、希望を叶える幸せを掴んでください。

【学級通信】(第130号)受験生を応援する

受験生を応援する

応援する女子高生

早稲アカ(早稲田アカデミー)の入試シーズンのポスターに書いてある言葉がなかなか熱くて、ステキなので掲載しておきます(去年、電車で見た時からいいな~と思ってメモっておきました)。全員に当てはまるとは思いませんが、みんな頑張っていますし、みんな応援しているのは同じです。

一年かけた実力は、
一日の緊張なんかに負けない。

思い出してほしい。
君が走り続けた、
この一年間のことを。
時間を見つけては必死にめくった、
あの単語帳のことを。
春からずっと使っていたあの問題集のことを。
競い合い、そして励まし合った友のことを。
テレビの音をそっと小さくしてくれた父のことを。
志望校を変えようかとひとり悩んだ夜のことを。
忘れないでほしい。
今日までのすべてが、
君が君を信じるいちばんの理由になることを。
さあ、ゆこう。
君の集大成を見せてやろう。


受験に立ち向かうキミは、
大きく見えた。

キミはいま、たたかっている。
目標に向かい、ちからを振り絞っている。
苦手な教科を、くりかえしくりかえし解いたこと。
大好きなゲームを、がまんしたこと。
悔しくてうつむいた日のこと。
とびあがって喜んだ日のこと。
最後まで、あきらめなかったこと。
ときどき、涙がこぼれたこと。
そのすべてが、キミの財産だ。
がんばった記憶は、
受験の先につづく人生で、
キミを励まし支えるちからになる。
最後は自分を信じて、
さあ、ラストスパートだ。


受験生へ

がんばるって、ダサいと思っていた
君が変わったのは一年前、
志望校を決めた日から。
机に積みあがったテキスト。
付箋で膨らんだ参考書。
ぼろぼろになった英語の辞書。
がんばるってきつい。
きついなぁ。
でも、いつか君がこの季節を思い出した時、
それは、きついだけの思い出ではないと思う。
僕らは信じてる。
受験に立ち向かった記憶は、
受験の先の人生で、
君を励まし支える力になると。
最後は自分を信じて、
さあ、ラストスパートだ。


不正解なんて一つもない、

君がすごした一年に。

思い出してほしい。
君が走りつづけた、この一年間のことを。
部活にも最後まで全力だったことを。
朝飛び起きて慌ただしく家を出た日々のことを。
机に突っ伏して眠ってしまった夜のことを。
誰よりも早起きして、
お弁当を作ってくれた母のことを。
まわりと自分を比べて、
焦っていたあの夏のことを。
忘れないでほしい。
今日までのすべてが、
君が君を信じるいちばんの理由になることを。
さあ、ゆこう。
君の集大成を見せてやろう。


どうですか?心に刺さるものありましたか?考えたコピーライターさんはなかなかやりますよね~。ちなみに、

「はじめ!の瞬間まで、君はのびる」

ってのもありました。本当にその通りだと思います。受験勉強は辛いかもしれませんが、頑張る皆さんを誰もが応援しています。頑張れ受験生!やれることを全部やって本番を目指してください。